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東京で働くバツイチ40代男性のひとり暮らし(たまにふたり)とかいろいろ。

【ネタバレなし】シン・ウルトラマンを観劇 感動と興奮とモヤモヤ?(駄考察)

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週末、観に行って来ました。

(画像は公式サイトより)

-目次-

 

1:はじめに

先週の半ば頃から、自分が良く行く劇場(東宝)の予約状況をチェックしていたのですが、庵野作品としては予約の入り方が今ひとつでした。シン・ゴジラやシン・エヴァンゲリオンの時のような「おいおい、この回も空いてないのか?!」と言う詰まり方がまるでありません。とは言え、公開から日が経つとsnsや別タイプの予告など、情報量が増えるのが常。早い方が良いだろうと思い、チケットを購入。

 

2:いざ劇場、席は半分程度の入り具合

都内の東宝シネコンで夕方の時間帯、客の入りは半分程度でした。公開直後とは思えない雰囲気。客層は8割が男性、他に女性と子供がチラホラ。売店を見ると、デザインワークスやパンフは品切れ。その様子と劇場内の客入りの様子がリンクしない気が。まぁ、これで2回目を観にくる理由ができたな、、、と考えて上映待機。

 

3:2時間の上映を終えて

前提として、私はウルトラマンを全く視聴せずに生きて来ました。子供心に、視覚的に人間的すぎるヒーロー像が今ひとつピンと来なかった思い出があります。たぶんロボの方が好きだったんでしょう。ゴレンジャー的なコンテンツは見ていたんですが、、、。ここからは、全くウルトラマンを知らない人、の感想です。

3-1:直接的なシン・ウルトラマンの感想

・2時間はあっと言う間だった

・とても面白かった、2回目も来たいと思う

・オープニングの怒涛の展開がとても良かった

 興味深く高密度な情報を処理しきれない快楽、これぞ庵野作品

ウルトラマンに関する予備知識がなくても楽しめた

・これぞ特撮!と言うシーンが多数あり、興奮した

・夜戦の素晴らしさは平成ガメラと並ぶクオリティ

・生まれ変わったら津田健次郎山寺宏一になりたい

山本耕史のハマリっぷりが凄い

・どこかちょっと、モヤモヤする読後感

「とても面白かったのだけれど、シン・ゴジラを観終えた時ほどの興奮はない。それが少し寂しい。」と言うのが最初の感想。

じゃあシン・ゴジラと比較しなければ良いじゃないか、と言うだけの話なんです。なのですが、「もっともっと面白くなったんじゃいんか」「というか物足りない」と言う気持ちが強くなってきます。と言う訳でシン・ゴジラを振り返る。

3-2:シン・ゴジラの良かったポイント

・観終わった後の興奮、カタルシスが素晴らしかった

ゴジラ=危機=震災=終末感、という大きな恐怖に対する描写が凄まじかった

・チョイ役も有名俳優を用いるなど、見た目のリッチさがあった

・どのキャラクターも濃くて個性が際立っており、それが物語にうまくはまっていた

・全体的にテンポ良く、話の盛り上がりが分かりやすい(構成がシンプル)

・音楽と映像のリンクが秀逸だった

こうして振り返ると、明らかにシン・ゴジラの方が「良かったポイント」を上げやすいです。それも、具体的に。ただ、時節柄と言うか、上映されたタイミングの要素もあるのかも知れません。

3-3:シン・ゴジラ2016とシン・ウルトラマン2022のタイミング的な違い

シン・ゴジラの上映された時期は、エヴァの最終作がどうなるかわからない時であり、庵野監督作品に対する渇望感が強いタイミングだった

・観客(われわれ)が実写における庵野さん節に慣れてしまった

シン・ゴジラとシン・エヴァンゲリオンで観客の期待感、ハードルが上がり過ぎてしまった

 

4:気になった3つの何か

観劇後は「只々、面白かった!」という気持ちが7割。残り3割は寂しさと言うか、モヤモヤな気持ち。そのモヤモヤは大きく3つに別れる気がしています。

4-1:庵野監督の熱量がやや薄まって感じられた

批判というか、ネガティブな話では無いのです。ただ、何なのだろうか、という「?」です。庵野さんがやりたい放題やってないのかも知れないな、という印象。樋口監督の何かが前面に出ているのか、制作上の何らかの事情があったのかは一般人にわかるところではありませんが、観終わった後の「モヤモヤ」の原因の一つはそこにあるのかも、と言うのがオタクの感想です。これは庵野監督個人と言うよりも、ウルトラマンというコンテンツの成立の複雑さ(東宝、円谷、カラー)が遠因なのかも、とも。

4-2:中盤及び後半の人間ドラマの描写力の低さ

これも何と説明すれば良いかわからないのですが、「役者さんは、皆さん素晴らしく上手。ただ、役者さんによっては探り探りやっている感じが出てしまっていました。また、役者同士の相乗効果的なものが薄い印象。」平成ガメラ」シリーズや「のぼうの城」、「進撃の巨人(実写版)」など樋口監督の作品で度々感じてきた「人間ドラマのクオリティの今ひとつさ」が、シン・ウルトラマンにもありました。特撮は素晴らしいんです。間違いなく劇場には2回目として来ますし、円盤も買います。うーん。せっかくコメディ的な要素も盛り込まれていたのに、シリアスパートとの対比が今ひとつだった気もします。

4-3:物語の進行速度の何か

シン・ゴジラの時は「テンポが良い」と感じていた編集、物語の進み方でした。今回のシン・ウルトラマンについては「ダイジェストを見ているかのような」印象。30-45分程度の3-4作品に分けた方がテンポが小気味良かったのかも知れません。振り返ってみると、やや無理やり2時間ものの映画に嵌め込まれたような気もする、という感じがしました。

 

5:「シン」が持つ「5つの意味」から紐解く

モヤモヤのポイントが整理できたところで、今度は「シン・ウルトラマン」は何をやりたかったのか?という本筋を想像してみます。まず前提として、2016年のシン・ゴジラ、2021年のシン・エヴァンゲリオン、2022年のシン・ウルトラマン、2023年のシン・仮面ライダーという4部作が存在。私はタイトルの「シン」には主に5つの意味が込められているのでは、と考えています。

生 / 実 / 愛 / 前 /

そして、これら5つの「シン」は4部作においてそれぞれ、バランスが異なるのではないでしょうか。具体的には↓

 シン・ゴジラ:神>真>親>新>進

 シン・ウルトラマン:真>親>神>進>新

 シン・エヴァンゲリオン:親>進>神>新>真

庵野さんの世界、映像に慣れ始めた観客が次の展開を求めたのに対して、シン・ウルトラマンは現代に足を置いて「復原」を試みようとしたのかも知れません。つまり、2016年の「シン・ゴジラ」は「神・ゴジラ」としての側面が強かったのに対して、「シン・ウルトラマン」は「真・ウルトラマン」として成立させようとしたのでは、と言うことです。こうして考えると、庵野監督作品の4部作の中で、「物語に込められたテーマの優先順位の違い」が整理できた気がします。それなら読後感が各作品でバラバラなのも当然な訳で。そもそもコンテンツが違うから、そりゃそうでしょ、という話ではあるのですが、なんかこう、スッキリしました。

ちなみに、上記でシン・エヴァンゲリオンを「親」としているのは、改めて別の記事で立てたいかなと思っています。各物語を視聴し終えた後に、5つの要素を思いついた順に並べただけですので、あくまで個人的な感想です。

 

6:シン・ウルトラマンに対する結論

ウダウダ書き綴って来ましたが、結論としては「シン・ウルトラマンも非常に面白かった。」以外の何ものでもありません。

ガイ星人に翻弄される様子、奇怪さはウルトラマン独自のトーンだと思いました。CGで描かれているのに、とても人間らしさを纏ったウルトラマンの描写も秀逸。ラストバトルの壮大さ、庵野監督得意の「内面心理、もしくは内面宇宙」の描写は懐かしさと新しさが同居する不思議な表現に高められていました。こうして書いていると、あのシーンも良かった、ここも面白かったと次々思い出されます。また劇場へ行こう。いま放映されているウルトラマンも見てみようかな。

 

話は飛びますが、「シン・エヴァンゲリオン」の成功した要因の一つに「新しい世代を制作チームの要所に据えた」というアプローチがあったと思います。コヤマシゲトさん然り。庵野さん実写シリーズの「シン」にも何か別の要素を加える時期なのでは、と思ったり思わなかったり。

 

 

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