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東京で働くバツイチ40代男性のひとり暮らし(たまにふたり)とかいろいろ。

【機動戦士ガンダム 水星の魔女】第12話「逃げ出すよりも進むことを」感想と考察 vol.3 〜第2期展開予想

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ついに1stシーズンの最終話を迎えた「機動戦士ガンダム 水星の魔女」。全体的にはこれまで11話かけて進んできた物語の「伏線の回収」ではなく、「学園百合モノの皮をブチ破って顔を出した、いつものガンダム」という方向性のお話でした。ありがとうございました。と言うわけで最終話の感想と考察、その3です。

(画像は公式twitterより)

-目次-

 

 

噂のCパートを振り返る

ミオリネ「絶対に助けてやる!病院のベッドで一晩中、罵倒してやるんだから。、、、はっ!」

兵士「見つけた、、、デリング・レンブラン!地球に帰れなくとも、お前とはここで差し違える!」

(破壊音、現れるエアリアル

スレッタ「ミオリネさん!」

兵士「くそっ!」

スレッタ「やめな、、、、さいッ!」

エアリアルの平手で兵士を叩き潰す)

スレッタ「よっ ホッ、、、うわぁ(転ぶ)うひひひ、、、締まらないなぁ。助けに来たよ、ミオリネさん!」

(絶句するミオリネ)

ミオリネ「なんで、笑ってるの?」

スレッタ「うぇ?」

ミオリネ「人殺し、、、!」

 

 

 

 

ミオリネとスレッタ、それぞれの親子関係

(画像は公式サイトより)

 

デリングとミオリネ

「その格好はなんだ、避難時はノーマルスーツが鉄則だろう」

「生存確率が高い選択をしろ」

最終話(第12話)でデリングがミオリネに向けて発したセリフ。事務的ではありますが、父の娘に対する愛情が感じられます。物語序盤では視聴者から「ダブスタクソ親父」としか見られない憎まれキャラでしたが、物語が進むにつれて、ミオリネに対する愛情がどんどん描かれることに。ツンが過ぎるのよ、、、お父さん、、、。

 

 

デリングとミオリネ@第一期を振り返る

・ミオリネと日常を共に過ごさず、距離を置いていた

→多方面から命を狙われる危険性を持つ自分(デリング)から、愛する娘を守る(遠ざける)ため
・決闘によって花婿を決めるシステムを採用

→公然の元、組織力や実力に秀でた者にミオリネを託すため
・株式会社ガンダムを認めた

→自分が亡き後、ミオリネが自立して生きる道を作るため

これまでのデリングの行動を振り返ると、自分が殺されてもミオリネが困らないような準備をしていた、と読めます。母が居ない中で、自分にできる精一杯を努めていたのかもしれません、不器用過ぎますが。碇ゲンドウのように、直接、ミオリネと触れ合うのが怖かったのかもしれません。クソ親父って何回も言ってしまって、ゴメンナサイ。

 

 

ミオリネ視点の第1期

物語の前半、ミオリネは父の意図を読み取ることをせず、ただただ親の呪縛から逃れたい一心で家出を企てたり、周囲にキツく当たったり、自分の殻(温室)に籠るだけの日々を過ごしていました。それが、スレッタの出現によって大きく変化することに。憎んでいた父親や仲間の協力を得て会社を設立運営、自らのテリトリーの温室に他社を入れるなど。大きく言うと「自分の進むべき道の開拓」と、「社会性の獲得」を掴みました。偉大な成長です。そしてこの2つは、ミオリネが「進んだこと」によって得られたもので、まさにスレッタの言葉によって生み出された結果です。11話までは、ミオリネ視点において「水星の魔女」は、ハッピーエンドに向かう可能性を持った物語だったのです。

 

 


プロスペラとスレッタ

(画像は公式サイトより)

希望を感じさせる「デリングとミオリネの親子関係」と対をなすのがコチラ。プロスペラとスレッタの間にある関係は「親子の信頼関係」ではなく、「隷属」に近い気がします。

・第2話:泣きながらお弁当を食べるスレッタのスプーンの持ち方が変

・第3話:ガンダムのことについて質問したスレッタに、話をはぐらかすプロスペラ

・第8話:「じつはガンダムでした」の後、プロスペラに質問したスレッタが、より洗脳されて満足して帰ってきた

第1期を通して、プロスペラが一般的な「娘に対する誠実な愛情」を見せるシーンは皆無でした。むしろ、虐待された過去、あるいは親からの十分な愛情&教育を受けてこなかったことを示唆する描写だらけ。このblogでも何回かに分けて、「プロスペラのスレッタに対する洗脳」について考えて来ましたが、第12話で改めて「プロスペラが日常的に、スレッタに対して歪んだ接し方していること」が確定的になったと思われます。何より業が深いのは「こうしなさい」という命令ではなく、「こうしてほしいけれど、どう?進めば2つよ?」という話法で「あくまで、行動の意思決定はスレッタである」という予防線を張っているところです。

 

 

親子関係から見る水星の魔女のテーマ

第11話で、スレミオは互いを必要として、心を通わせたように見えましたが、最終話となる第12話で、ふたりの人生の背景に、あまりにも大きな溝が存在していることが示されました。昔から「身分が違う者同士の恋」は多くの物語の題材となって来ましたが、「水星の魔女」においては「出生が大きく異なる二人の物語」が大きな軸となるようです。

第12話の前半で「逃げろ」と声をかけた父デリング、そんな父を父を守って一緒に逃げる道を選んだ娘ミオリネ。反対に、人殺しへ進むことを促した母プロスペラ+進んだことで何かがおかしくなってしまった娘スレッタ。(ギャグではない)

非常に対照的な親子として描かれています。その軸が表現するテーマは「親子愛」なのかも知れません。ガンダムにおける伝統的なテーマの一つですね。

こうした構図が鮮明になった最終回として鑑賞すると、改めてヴィムとグエルの悲劇は胸に響きますね、、、。エラン4号君は、親に愛された記憶が無かった(実際にはあった)ことが、不幸な人生に突き進ませる要因となりました。とすると今後、シャディクとサリウスの間にも何らかの悲劇が生まれてしまうのかも知れません。

 

 

 

 

衝撃的だったCパートの悲劇性を読み解く

「ハエ叩き」ショック

snsでトレンドに上がるなど、大きな話題を振り撒いたCパートのラスト。何故、非常に多くの視聴者をショックに陥れたのか。ビジュアルとしてのインパクトだけではなく、叩き潰されたものは、他にもたくさんあったと考えられます。

 

そもそもスレッタとは何者なのか

・第1話:スレッタがグエルのお尻を叩く

・第5話:エアリアルにリンクしたエラン4号が操作

・PROLOGUE:操作方法を知らないエリクトが敵を撃退

↓これらのシーンから想像するスレッタの特性はコチラ↓

・常にパーメットスコア3以上の状態を維持している

・パーメットスコアのレベル上昇を特段、意識していない

・意識と無意識の両方でエアリアルを操縦することが当たり前

つまり、「スレッタは恐ろしいほどにエアリアルの一部品」として機能している、ということです。「融合」と言っても良いのかも知れません。

望まない決闘や会社の設立など、さまざまな苦難を乗り越えたスレッタ。ですが、彼女の本質は何も変わっていないことがわかります。

自らが選択して進んだかのように見えていますが、その実、母親の言葉によって「進まされている」のです。「やりたいことリストの更新」によって成長しているかのように見えていますが、「いつか水星に学校を作りたい」という彼女自身の夢に向かっての前進要素は、ほとんどありませんでした。

これまで、スレッタ自身の経緯や深層については、ほとんど描写がありません。唯一、明確に成長(進化)したのは「エアリアルとの同期」です。彼女がエリクトと同一人物なのか、エアリアルとどのような同期を行っているのか、水星ではどのような時間の過ごし方をしたのかは、謎。これはそのまま「ミオリネも実は、スレッタのことをよく知らない」ということに繋がります。

第2期では、二人の関係性を再構築するに当たり、スレッタの過去に焦点が当てられるエピソードが見られるかも知れません。

 

 

人を殺したスレッタの笑顔

第12話のラストは、プロスペラのサイコパスっぷりがスレッタに移ったかのような凄惨なシーンでした。プロスペラがスレッタを人殺しに誘った時に差し出した手も、スレッタがミオリネを救うために兵士を叩き潰したのも右手。(第1話でミオリネに向けたエアリアルは左手)そして、ミオリネに差し出した血だらけの手もまた、右手…。

 

プロスペラの話術により、「人殺し=ミオリネさんやお母さん&みんなを救う=いいこと!」と調整されたスレッタにとっては、「私、みんなを救えた!」という達成感に包まれた心境であったと思われます。他でもない「自分を必要としてくれたミオリネさんを救えた」「お母さんがほめてくれる!」という多幸感、自己肯定感MAXの状態にいるからこそ、死亡した兵士の血に足を滑らせても、笑顔だったのでしょう。

 

「そもそも人を殺す行為とは」という思考が欠落しているからこそ、の笑顔です。これはまるで幼い子供の思考であり、PROLOGUEでエリクトが無邪気に敵機を撃墜したシーンを彷彿とさせます。

ミオリネから「人殺し」と言われたスレッタですが、おそらく、最終話の後半でプロスペラがスレッタを諭した(洗脳)論理で、ミオリネに反論するのでしょう。

「扉の向こうにこもっていれば、私(スレッタ)はこの人を殺さずに済みました。でも、戦ったことで、ミオリネさんを死なせずに済みました。逃げたら、私が死なない、が手に入りました。でも、進んだことで、ミオリネさんと私が死なない、が手に入ったんです!!」

 

 

ミオリネの中で壊れる何か

まっすぐな瞳で、こんなこと↑を言われたら、、、その瞬間こそ、ミオリネがパニックに陥りそうです。スレッタを人殺しに向かわせたのは、他でもないミオリネ自身だと認識した瞬間の彼女の情緒を想像すると、気持ちが暗くなります、、、。
第11話の後半で、ミオリネとスレッタは精神的な繋がりを確固たるものにしたように見えました。しかし、そのラストではフォルドの夜明けの襲撃の余波で、物理的な別離状態に。そして、第12話の最後、なんとか死地を乗り越え、父の死を食い止めようと奮闘するミオリネの前に現れたのは「人殺しを厭わないスレッタ」でした。トマトの栽培を任せることができるスレッタ、株式会社ガンダムを構成する重要なパートナーであるスレッタ、自分を前に進ませるきっかけをくれたスレッタ。エアリアルが叩き潰してしまったものは、そんな「ミオリネの中で大きな存在となったスレッタそのもの」だったのかも知れません。

 

 

 

 


第2期の展開予想

(画像は公式サイトより)

 

レンブラン家に降り掛かるガンダムの呪い

重傷を負ってしまったデリング・レンブラン。第2期ではおそらく「GUND技術を用いてデリングの延命が図られるシーン」が展開されると予想します。「ひどい重症となってしまい、助かる見込みがない → GUND技術を用いれば、延命の可能性がある」という話の流れがありそうです。「絶対に死なせない」と言ったミオリネですから、おそらく周囲の反対があろうとも、父親のためにリスクを承知でGUND医療の適用を決断すると思われます。しかしそれは、身内を用いた人体実験となってしまう可能性もある訳で、かつ、デリングが何らかの理由から禁忌としたGUND技術を肉親に施すことになる訳ですから、後々、エグイ展開になってしまう香りが漂います。でも、それこそがガンダム、、、?!

 

 


先の読めないペイル社

ペイル社がどうなるか、は現段階では全く想像がつきません。エラン5号が会社からプラント・クエタ事変の状況を逐一、掴んでいたことから、何らかの対策はありそうですが。プラント・クエタ事変では蚊帳の外だった印象。

 

 


内紛必至のグラスレー社

決闘と戦闘で、立て続けに大量のベギルペンデを失った会社として有名になってしまいました。自社MSの信頼度は悲観的。老獪のサリウスからすれば、ジェターク社の危機はチャンスですが、手駒と思っていたコーンポタージュ(シャディク)がプラント・クエタの主犯であることは勘づいているでしょうから、第二期ではグラスレーにおける親子対決が勃発するかも知れません。仲の良い親子がいない水星の魔女、怖い。

 

 


存続の危機、ジェターク社

代表が他ならぬ息子に殺されてしまい、岐路に立つジェターク社。普通に想像すると、ヴィムの死去により、サリウス率いるグラスレー辺りに吸収されそうな気がします。それとも、闇落ちしたグエルが、ユニコーンガンダムにおけるリディさんばりにダークグエルとして進化するのか?あるいは、様子を伺っていた地球議会連合が手を回して、新たな第三勢力として生まれ変わる、なんていう流れもキナ臭くて面白いかもしれません。

 

 


シン・セー開発公社の拡大

プラント・クエタ事変の一件で最も栄誉を掴んだのは、この会社でしょう。襲撃を退けるきっかけとなったエアリアル改修型を生み出したシン・セー開発公社。高度なビット技術、パーメットの逆流を防ぐパイロットシステム、飛べる踊れるエアリアルを実現した、ずば抜けたMS性能。学園の決闘や株式会社ガンダムの広告映像どころの話ではありません。プラントクエタ事変は、ある意味で「株式会社及びシン・セー開発公社にとって、これ以上ないプロモーションビデオ」となる訳です。そういえば、第二弾のPVを制作するとかしないとか言ってたっけ、、、。さらに、前述の「デリングを救うGUND医療技術」がニュースとなれば、ガンダムの認知度は飛躍的に向上。これまで平穏を保ってきた世界が、兵器と医療の最先端を要する「ガンダム」を求めて激しく対立しあう世界が始まってしまった、と言える展開になるかも。地球議会連合も登場してきそう。

 

 

エアリアルとスレッタの別離

宮崎駿監督の「魔女の宅急便」で、主人公がある日突然、それまで操っていたほうきで空を飛べなくなってしまうシーンがありました。小さい頃は何故、そんな話になってしまうのか、よくわかりませんでした。しかし、ある程度の年齢になってから同作を見返すと、それは「少女の成長の過程の一つ」として描かれたのではないか、と思えるようになりました。

「水星の魔女」第2期では、これに近い展開が起こるのではないかと想像しています。ミオリネとの軋轢(あるいはプロスペラとの軋轢)から、「自分は何者なのか?」「エアリアルとは何か?」という問いに対峙するスレッタ。その結果、自分の中に迷いが生まれ、これまで通じていたエアリアルを感じられなることに。苦悩してあがくスレッタ、さまざまな苦難や仲間の助けを得て成長し、ついにはプロスペラの呪縛から抜け出して、自らの道を進むことを決意する。その時エアリアルは再び、スレッタに語りかけるのだった、、、、!(=真の福音)という流れが来たらアツイな、そんな展開が見たい!という願いです。

 

 

 

 

 

春の第2期が楽しみ

3記事に渡って、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の最終話を自分なりに紐解いて見ました。続けてご覧いただいた方、ふらりと見て下さった方、ありがとうございました。アレこれと、エグさが際立つガンダムですが、リアルタイムでこんなに集中して見ることになるとは思いませんでした。楽しかったです。第2期が楽しみ。そして何よりエグいのは、第2期までのつなぎとして、閃光のハサウェイやサンダーボルトを地上波で流すというバンダイの番組構成ですね、、、。

 

 

 

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