Anou

東京で働くバツイチ40代男性のひとり暮らし(たまにふたり)とかいろいろ。

【機動戦士ガンダム 水星の魔女】第20話「望みの果て」 感想と考察(1週遅れ)

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6月に入り、仕事が忙しくなっております。気がつけば梅雨に突入しているし、1年の半分は終わっているし、、、時の流れが早い。前回に続き、またしても1週遅れとなってしまいましたが、第20話「望みの果て」 の振り返りをまとめてみたいと思います。

©︎創通・サンライズMBS

-目次-

 

 

 

グエルとシャディク

「俺は!俺の罪を肯定する!!」

シャディクらしいセリフ。「俺は間違っていない!」の言い換えであり、心の奥底にあるであろう「罪悪感」の裏返しのようでもありました。スペーシアンから奪われてきた過去に対して、奪い返すという怨念で返す。まさに憎しみの連鎖の体現とも言えるキャラクター。本編では触れられていませんが、おそらく、シャディクやシャディクガールズたちは、幼少期に過ごした地球での暮らしで、想像を絶する迫害を受けてきたのでしょう。自己陶酔の狂気に浸る青年ではなく、憎しみに満ちつつも論理的な思考と行動を見せる彼&彼女らには、言葉にならない感情が沸き起こる気がします。

 

 

「何も分かっていないんだな、奪うだけじゃ!手に入らない!!」

父殺しの十字架を背負い、地球で虐げられるスペーシアンと触れ合ったグエルだからこそ言えるセリフ。物語の流れ的にはグエルが支持を得やすい話となっていますが、前述のシャディク幼少期の描写があれば、どちらとも言えない話になっていたのかも知れません。学園仕様に制限されているダリルバルデに搭乗して、ミカエリスと互角に渡り合うグエルのパイロットとしての資質は相変わらず「見事」の一言。一瞬のシーンでしたが、最後にミカエリスの四肢をもぎ取ったビットは、かつてグエルが否定した戦闘AIのプログラムによる動きであるように見えました。エアリアルガンビットに翻弄され続けたグエルが、その実戦経験の豊富さを活かしてミカエリスに勝利。相変わらず、本作の主人公はグエルで間違いないですね。超絶ハイクオリティーな作画で感動しました。躍動感が半端なかったですね。

 

 

「愚かな息子よ」

「ベネリットグループは秩序維持のため、学園の同胞を犠牲にした。アーシアンの犠牲だけでは動かなかった議会連合も、これで重い腰を上げるだろう。」

直接対決に辛くも勝利したグエル。しかし、シャディクのシナリオには、自らを犠牲にすることも含まれていました。自らの策略により、すでにアーシアンへの技術供与はある程度進行している状況。あとは大きな「時代の流れ」を作り出せば、スペーシアンを恐怖に陥れる戦争が開始できる。そうすれば、、、と言う夢物語でしょうか。そんなシャディクの最後の言葉を聞いて、幽閉されていたサリウスが「愚かな息子よ。」と呟きました。この状況でもなお、シャディクを「息子」と読んでみせるサリウス代表。アーシアンの孤児を救い上げるプログラムを策定するなど、やはりこの人は良い人なのでは。シャディクは「俺を産んだのはアーシアンを虐げてきたスペーシアンだ!」と言うスタンスでしたが、しかし、彼はサリウスに庇護され、育てられてきたのも事実。復讐に囚われてしまい、周囲から向けられる優しさに気がつくことができない、と言うのは悲劇ですね。

 

 

 

 

 

ノレアとエラン5号

「スケッチにあった風景画!あれが君だろ!不安で!死ぬことに怯えて!殴り描くことでしか逃げられなくて!」

「おまえに何が、、!」

「僕と来い!行き方がわからないなら一緒に探してやる!怖いなら隣にいてやる!逃げるのが嫌なら、僕をあの絵の場所に連れて行け!その先のことなんて後でいい!生きていいんだって!証明させろよ!」

「一緒に来いだの連れてけだの、馬鹿なのあなた。後で教えて、あなたの、本当の名前、、、」

 

 

撃墜されるガンダム・ルブリス・ソーン

こちらもまた、とんでもない高クオリティーな作画シーンでした。キャラクター及びメカ作画監督の人数の多さに驚きました。そして絵コンテは第16話「罪過の輪」に続いて、エウレカセブンシリーズの京田知己氏。最強のスタッフ布陣。撃墜され、落下していくルブリス・ソーンが、悲しいまでにとても美しい。改めて、プラモデルが欲しくなった人が多いのでは。

 

ニュータイプ(強化人士)の感応

ガンダムの伝統シーンの一つである「ニュータイプ同士の感応」。本作では「強化人士」がそれに当たるわけですが、水星の魔女史上、最も悲しい戦闘シーンが繰り広げられた第20話。復習の渦の中から抜けられないノレアに真っ向から対話を行い、あと少しのところで引き上げられる、と言うところまで行ったのに、、、。ほんわか百合学園アニメだった第一期が忘却の彼方へ。今週もゴリゴリの「ガンダム」でした。アーシアンが虐げられたように、アスティカシア学園で虐殺を繰り広げてしまったノレア。シャディクにお膳立てされた破壊行動ではあったものの、多数の学生を手にかけてしまいます。そしてエラン5号はノレアの中に自分を見たのでしょう。自ら心を開き、ノレアに翻意を促します。それはきっと同情でも、恋でもない感情なのだと思います。他者を救う、寄り添う行為は、間接的に自分を助ける行為でもあります。ガンダムに乗ることを宿命付けられた2人が、ガンダムに乗らなくていい未来を描こうとするシーン。もしエラン5号が本当の名前をノレアに告げたなら、二人はこの後の人生を、どう生きたのでしょうか…。

 

 

アニメって素晴らしい

エランシリーズに花江さんがキャスティングされた理由は、本エピソードのためだったのかも知れない、と思えるほどの好演でした。そして、ノレア役の悠木碧さんもまた、まどマギの主役などを歴任する若き実力派。力のある声優さん同士の掛け合いと、高クオリティーな作画。これが神アニメですね。30分があっという間でした。普通のアニメであれば2話に分けたであろう内容がもたらす高い密度、疾走感。

「アスティカシア学園の崩壊」と言う描写が、「水星の魔女の終わりの始まり」を明確に示したように感じました。第3期を熱望していたのですが、どうやら、これは24話できっちり風呂敷を畳む気なのかも知れません、、、。

 

他にも、「ニカと対話できたマルタン偉い!」とか「ポンポン頭とフェルシーのコンビいいね!」とか「コンクリ塊を持ち上げるサイボーグスレッタ!」とか、書きたいネタがたくさんあるのですが、、、今日はここまで!